はじめに
透析中の低血圧は、急に起こるように見えても、その前に何らかの変化が出ていることがあります。
新人のうちは数値だけを追ってしまいがちですが、患者さんの訴えや表情の変化も大切な観察ポイントです。
この記事では、透析低血圧の観察ポイントについてまとめます。
なぜ観察が重要か
透析低血圧は、起きてから対応するだけでなく、早めに変化に気づくことが重要です。
血圧の低下だけを追っていると、変化に気づくのが遅れることがあります。
患者さんの様子や訴えをあわせて見ることで、早めの対応につなげやすくなります。
透析低血圧で見るべきポイント
透析低血圧を観察するときは、次の点を押さえることが基本になります。
- 血圧の変化:開始時からの推移を見る。前回値との比較も意識する。
- 脈拍の変化:普段の傾向を知っておくことで、頻脈・徐脈の変化に気づきやすくなる。
- 患者さんの症状や訴え:気分不快・冷汗・あくび・だるさなど。腹痛や尿意が出ることもある。
- 除水の進み具合:現在の除水総量・BVの減少率・除水速度が適切かを確認する。
- 表情や反応の変化:返答が鈍い、落ち着かない、顔色が悪いなども見逃さない。
数値に変化が出る前に、症状や表情のほうが先に変わることがあります。
各観察ポイントの見かた
血圧の変化
定期測定の数値だけでなく、開始時からどのくらい変化しているかを見ることが大切です。
「今の血圧がいくつか」だけでなく、「どこからどう変わってきたか」という推移の視点を持つようにしています。
脈拍の変化
脈拍の増加や変化がみられる場合は、循環動態の変化を考えるきっかけになります。
普段の傾向を知っておくことで、頻脈・徐脈どちらの変化にも気づきやすくなります。
患者さんの症状
気分不快・吐き気・冷汗・あくび・だるさなどがないかを確認します。
腹痛や熱感、尿意といった訴えが出ることもあります。
患者さん自身が「なんかおかしい」と感じているサインを見逃さないことが大切です。
除水の進み具合
現在の除水総量・BVの減少率・除水速度が速すぎないかなどを確認します。
除水量や速度が患者さんの状態に対して適切かどうかを、症状とあわせて判断していきます。
表情や反応
眠そうにしている・返答が鈍い・落ち着かないといった変化も見逃さないようにします。
苦痛表情や顔色、会話の様子、体動の変化なども観察のポイントです。数値に変化が出る前に、こうした反応が先に出ることがあります。
現場で意識したいこと
観察で意識したいのは、数値だけでなく患者さんのいつもとの違いを見るという視点です。
透析後半は特に変化が出やすいため、後半にかけて観察の意識を高めるようにしています。
除水量が多い患者さんは、前半から意識して見ておくことが大切だと感じています。
現場で感じたこと
新人の頃は血圧の数値ばかり気にしていましたが、患者さんの表情や訴えに早く気づけると、低血圧が強くなる前に動きやすいと感じました。
特に、なんとなく落ち着かない様子や「あくびが増える」「少し気持ち悪い」といった小さな変化は見逃さないようにしたいところです。
以前、普段は血圧150mmHg以上で推移していた患者さんが、定時測定で血圧130mmHgまで下がっていると気づいたら、そこから5分も経たないうちに血圧が60mmHg台まで急落した経験があります。
絶対値だけ見ると130mmHgはそれほど低くないのですが、その患者さんにとっては「いつもより明らかに低い」状態でした。
透析低血圧は、下がりはじめると一気に進むことがあります。「少し下がってきたな」と感じた時点で、早めに対応を考えることが大切だと思っています。
開始早々からおなかが痛い・足が痛いと訴える患者さんもいますが、そういった場合はいつもの痛みとどこが違うのか、目標除水量や除水速度も考慮しながら対応していく必要があります。
まとめ
透析低血圧は、数値だけでなく患者さんの状態全体を見て早めに気づくことが大切です。
血圧・脈拍・症状・除水の進み具合をあわせて観察することで、落ち着いて対応しやすくなります。















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