透析中に患者さんから「足がつる」「ふくらはぎが痛い」と言われて、対応に迷ったことはないでしょうか。
筋けいれんは透析中によくみられる症状のひとつです。ただ、新人のうちは「なぜ起こるのか」「何を確認すればいいのか」がわかりにくく、慌ててしまいがちだと思います。
私も最初は、足がつったという訴えに気をとられてしまい、その背景まで考える余裕がありませんでした。
今回は、透析中に足がつる原因と、現場でまず確認したいポイント、対応の考え方についてまとめます。
透析中に足がつることはよくある?
透析中の筋けいれんは、珍しい症状ではありません。特に下肢に出ることが多く、「足がつる」「痛い」「伸ばしたい」と訴える患者さんは少なくありません。
命に関わるような急変ではなくても、患者さんにとっては強い苦痛であり、透析そのものがつらくなる原因にもなります。
スタッフ側としても、その場で何を優先して確認すればよいか迷いやすい症状です。
だからこそ、新人のうちから「足がつったら何を考えるか」を整理しておくことは、実務に役立つと感じています。
どうして足がつるのか?
透析中に足がつる原因としてまず考えたいのは、除水にともなう循環血液量の低下です。
透析では体内の余分な水分を除水していきますが、血管内の血液量が減ってくると、筋けいれんが起こりやすくなることがあります。特に透析後半や、除水量が多い日には出やすい印象があります。
ドライウェイト(DW)に近づいているとき、あるいはその日の体調によって除水がきつくなっているときにも起こることがあります。
また、筋けいれんは血圧低下と関連して出ることもあります。
足がつったという訴えだけで終わらせず、血圧や他の症状もあわせて見ていくことが重要です。
そのほかの要因として、透析液のナトリウム濃度が関係することもあると言われています。
ナトリウム濃度は施設によって設定が異なるため、自施設ではどのような設定になっているかを一度確認しておくのもよいかもしれません。
患者さんによっては、毎回透析後半に起こる、体重増加が多い日に出やすいなど、ある程度パターンがある場合もあります。
一回限りの症状として捉えるのではなく、その患者さんの傾向として見ていく視点も必要だと思います。
足がつったときは何を見ればいい?
足がつったときにまず確認したいのは、いつ症状が出たかです。
透析開始直後なのか、終了前なのかで考え方は変わります。特に透析後半であれば、除水の影響をまず疑ってみるのが自然です。
次に、どれくらい除水が進んでいるかを確認します。現在の除水量・残りの除水量・除水速度などを見て、体への負担を把握します。
そして、血圧や他の症状に変化がないかも重要です。血圧低下・冷汗・気分不良・あくび・顔色不良・落ち着きのなさなどがないかを確認します。
筋けいれんだけなのか、それとも循環動態の変化の一部として起きているのかで、対応の優先度も変わってきます。
さらに、患者さんがいつもと同じ反応かどうかも大事です。毎回似たタイミングで起こるのか、今回はいつもと違うのか。その違いを知っておくことで、状況をより適切に判断しやすくなります。
私の印象では、いきなり強い痛みが出るというより、足のむずむず感や「なんか変」といった小さな訴えが先に出ることもあります。こうした前兆を見逃さないことも大切だと感じています。
どう対応すればいい?
まずは患者さんの訴えを聞いて、どこがつっているのか、どのくらいつらいのかを確認します。同時に、血圧・表情・冷汗・気分不良など、全身状態も見ていきます。
そのうえで除水量や除水速度を確認し、除水の影響が疑われる場合は除水を見直すことが大切です。状況によっては、除水を弱めたり、中止して様子を見ることもあります。
自施設では、足のマッサージや温罨法を行ったり、必要に応じて芍薬甘草湯の内服・10%NaClの投与・緊急補液などが検討されることがあります。
ただしこのあたりは施設ごとに方針が異なるため、実際には施設の手順に沿って進めるのが基本です。
なお、10%NaClは透析後に口渇が出やすい印象があり、自施設ではあまり頻繁には使っていません。
症状が強い場合や血圧低下を伴う場合は、早めに先輩や医師に報告し、施設の手順に沿って対応します。
ここで大事なのは、足がつったこと自体への対応で終わらせず、なぜこのタイミングで起きたのかを考えることだと思います。その場しのぎにならないよう、次回以降の透析に向けて、
- 除水設定は適切だったか
- ドライウェイトの見直しが必要か
- 起こりやすい時間帯のパターンはあるか
といった視点につなげていくことも必要です。
現場で意識しておきたいことは?
私が現場で意識しているのは、足がつってから対応するだけでは遅いことがある、という点です。
実際、筋けいれんが出る前に、あくびが増える・表情が変わる・そわそわして落ち着かないといった変化がみられる患者さんもいます。
また、私の経験では、筋けいれんは透析後半に多く、下肢が中心ですが、脇腹のつりとして訴えが出ることもあります。
除水量が多いときや除水速度が速いときにみられやすい印象です。
BVについては、自施設では一つの目安として−15%を超えたあたりから筋けいれんが出やすいと感じる場面があります。ただしこれも患者さんごとの差が大きく、数値だけで判断せず、症状や全身状態とあわせて見ていく必要があります。
数字だけを追っていると見逃すことがあります。血圧や除水量はもちろん大切ですが、患者さんの表情・訴え方・いつもとの違い、そういったところにも目を向けることが必要だと感じています。
筋けいれんが起こると「除水しすぎかな」で片づけたくなりますが、それだけで決めつけないことも大事です。
透析の進み具合・血圧・患者さんごとのパターンを総合して考えるようにしたいところです。
まとめ
透析中の筋けいれんは、除水や循環血液量の低下に関連して起こることが多い症状です。
患者さんから足がつると訴えがあったときは、いつ起きたか・どれくらい除水が進んでいるか・血圧や他の症状に変化がないかをあわせて確認することが大切です。
また、強い痛みとして出るだけでなく、足のむずむず感や小さな違和感が先にみられることもあります。
その場の対応で終わらせず、次回以降の予防にもつなげていけるように考えていけると、ケアの質は少しずつ変わってくると思います。
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