シャント穿刺針の持ち方と角度はどう考える?安定して刺すための基本

はじめに

シャント穿刺を始めたばかりの頃は、「針はどう持てばいいのか」「角度は何度くらいがいいのか」と迷いやすいと思います。

私も初めて穿刺するとき、針の大きさと長さに戸惑いました。サーフロー針より太く長いため、取り回しに苦労した記憶があります。

ただ実際には、持ち方と角度は別々に考えるものではありません。

針をどう持つかによって刺しやすさや安定感は変わりますし、角度も血管の深さや走行に合わせて考える必要があります。

この記事では、シャント穿刺で安定して刺すために、針の持ち方と角度をどう考えるかを整理します。

なぜ持ち方と角度を一緒に考える必要があるのか

シャント穿刺では、針を血管の中に適切に入れることが必要です。そのためには、ただ針先を血管に向けるだけでは不十分です。

針を安定して操作できるか・血管の深さに合った角度になっているか・余計な力が入っていないか・逆血後に落ち着いて進められるか、こうしたことがすべてつながっています。

持ち方が不安定だと角度もぶれやすくなり、血管に入った感覚もわかりにくくなります。逆に、血管の深さを無視した角度で刺せば、持ち方がよくても入りにくくなります。

そのため穿刺では、持ち方だけ・角度だけで考えず、全体の動きをひとつとして考えることが大切です。

針の持ち方で大切なこと

安定して操作できる持ち方を選ぶ

シャント穿刺で大切なのは、見た目がきれいな持ち方ではなく、自分が針先を安定してコントロールできる持ち方です。

基本的には針の後端を持つことが推奨されています。

後端を持つことで血管に入る感覚がわかりやすくなり、角度もつけやすくなります。

針の胴部分を持って穿刺すると角度がつけられないだけでなく、針の内筒が血管の弾力に負けてカット面が外筒の先端より内側に引っ込んでしまうことがあります。

持ち方が不安定だと、針先がぶれる・余計な力が入る・刺入時に角度が変わりやすい、といったことにつながります。

また、手が震えるときは、針を保持している指以外を患者さんの腕に添えて支えを作ると安定しやすくなります。

サーフロー針と違い、針の先端から保持している部分までかなり距離があるため、支えがないと穿刺部位が定まりにくくなります。

特に初めての穿刺ではかなり手が震えますので、意識的に支えを作ることが大切です。

針先の感覚がわかりやすい持ち方を意識する

施設やスタッフによって針の持ち方や刺し方には個人差があります。

成功率の高いやり方を意識しながら、自分にとって感覚をつかみやすい持ち方を見つけていくことが大切です。

握り込むと、感覚よりも力で操作しやすくなります。硬い皮膚の場合には力を入れて穿刺することもありました。

持つ位置や支え方によって、針先や外筒がどう入っていくかを感じ取りやすさが変わります。

持ち方は、ただ固定するためだけでなく、血管に入った感覚を拾いやすくするためにも重要です。

力みすぎないことも大切

新人のうちは緊張して、針を強く握りすぎることがあります。

すると動きが硬くなり、細かい調整がしにくくなります。

しっかり持つことは必要ですが、力で押し込むのではなく、コントロールするために持つという意識の方が大切です。

角度はどう考えるか

角度は固定ではなく血管に合わせるもの

シャント穿刺の角度を「何度」と決めて覚えたくなることがありますが、実際には血管ごとに条件が違います。

目安として約30度といわれることもありますが、血管の深さや状態に合わせて変化させるのが実際のところだと感じています。

グラフト(人工血管)ではかなり角度をつけて刺すと聞くこともありますが、基本的には約30度くらいの角度で刺していることが多いです。

ですが、やはり血管の状況によって調整していく必要があります。

浅い血管・深い血管・張りのある血管・少し逃げやすい血管では、適した刺入の仕方が変わります。

そのため角度は数字で覚えるというより、血管の深さに届くための入り方として考える方が自然です。

浅い血管では刺しすぎに注意する

浅い血管に対して角度をつけすぎると、すぐに血管に当たり、そのまま反対側の後壁を貫きやすくなります。深く刺し込みすぎない意識が重要です。

深い血管では届くイメージを持つ

深い血管に対して浅すぎる角度だと、血管まで届かずにうまく入らないことがあります。

たとえば皮膚から1cm下にある血管などを刺す場合、浅く穿刺すると血管内に留置できるカテーテル長が短くなることもあります。また皮膚の穿刺口と血管の穿刺口に大きくずれが発生する可能性もあります。

そのため角度をつけて穿刺することで、カテーテルの長さを確保しながら留置しやすくなります。

つまり角度は、深ければ急・浅ければ緩やか、という単純な話ではなく、血管の位置や走行に応じて調整する感覚が大切です。

血管の深さに合わせてイメージを持って刺す

穿刺では、血管を平面ではなく立体で考える必要があります

どこに血管があるか・どの方向に走っているか・どのくらいの位置で針先が血管に届くか、を刺す前に整理しておくことが大切です。

このイメージがあると、「この角度ならここで入るはず」という見通しを持って刺しやすくなります。

血管が太くても、やみくもに刺すだけではうまく入りません。

新人がつまずきやすいポイント

持ち方だけ真似してしまう

先輩の持ち方を見てそのまま真似しても、自分の手の感覚や支え方に合わないことがあります。見た目だけでなく、自分にとって刺しやすいか・安定するかどうかが大切です。

角度を数字で覚えようとする

角度は目安として考えることはあっても、それだけで決められるものではありません。

血管の深さや状態を見ないまま角度だけ合わせても、うまくいかないことがあります。

持ち方と角度を別々に考えてしまう

持ち方が安定すれば角度も安定しやすくなります。

逆に、角度のイメージがあれば持ち方も定まりやすくなります。

ここを切り離して考えると、理解しづらくなります。

安定して刺すために大切なこと

シャント穿刺で安定して刺すために大切なのは、「この持ち方が正解」「この角度が正解」と決めすぎないことです。

それよりも、血管の走行と深さをよく見る・自分が安定して操作できる持ち方を見つける・血管に合った角度を考える・力で押し込まず感覚を拾いながら進める、という考え方の方が実践的だと思います。

穿刺は単なる手の形ではなく、血管に合わせて操作を調整する技術です。

まとめ

シャント穿刺では、針の持ち方と角度を別々に考えるのではなく、安定して血管をとらえるためのひとつの動きとして考えることが大切です。

持ち方では、安定して操作できること・針先の感覚がわかりやすいこと・力みすぎないことが重要です。角度では、血管の深さに合わせること・浅い血管では刺しすぎに注意すること・深い血管では届くイメージを持つことが大切です。

新人のうちは持ち方や角度を正解探しのように考えがちですが、本当に大切なのは血管に合わせて安定して刺すためにどう調整するか、という視点だと思います。

自分自身も、その感覚を研ぎ澄ませながら穿刺に向き合っています。

最後に

参考までに穿刺の動画を載せておきます。

穿刺の解説もあるためわかりやすいので参考にしていただければと思います。

穿刺動画

※本動画はYouTubeより引用しています。 出典:kuc1se

物品などが施設によって違いますので穿刺針の保持する位置などは多少変わることがありますのでご了承いただきます。

こちらの動画でも針を持つ指以外は腕に添えて安定させ、片方手は血管を動かないようしっかり固定しています。穿刺の角度も大体30度くらいになっているのがわかります。

動画を参考に穿刺のイメージを持ち穿刺に臨むと成功率を高められると思います。

※本記事は一般的な内容をまとめたものであり、実際の対応は施設の方針や医師の指示に従ってください。

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