シャント穿刺の前に見るべきポイント|観察・触診で確認すること

はじめに

シャント穿刺では、針をどう入れるかに意識が向きやすいですが、実際には刺す前の観察と触診がとても大切です。

どこを、どの角度で、どの深さに向かって刺すのかは、刺す前にどれだけ血管の情報を取れているかで変わります。

逆にここが不十分なまま穿刺すると、血管をとらえにくかったり、刺しすぎたり、再穿刺につながったりしやすくなります。

私自身、穿刺は手技そのものよりも、刺す前にどれだけ血管を見ているかが大事だと感じています。

この記事では、シャント穿刺の前に新人看護師が確認しておきたい観察・触診のポイントを整理します。

なぜ観察・触診が大切なのか

シャント穿刺は、ただ見えている血管に針を刺せばよいわけではありません。

見た目にはわかりやすそうでも、実際には途中で走行が変わっていたり、思ったより深かったり、血管の張りが弱かったりすることがあります。

そのため、穿刺の前に血管がどこを走っているか・どのくらいの深さか・張りや太さはどうか・いつもと違いはないかを確認することが重要です。

観察と触診は、安全に穿刺するための準備であると同時に、その日のシャントの状態を把握するための大事な時間でもあります。

観察で確認するポイント

血管の見え方

まずは血管がどこに見えているかを確認します。まっすぐ見えるのか、蛇行しているのか、途中でわかりにくくなっている部分はないかを見ます。

見た目だけで決めつけないことが大切です。

以前、表層では見えていた血管が深部にかけて走行が変わっていて、外筒がうまく進まなかった経験があります。

また、アプローチしようとした血管が見た目より細く、うまくとらえられなかったこともありました。

見えている情報がすべてではないと意識しておくだけでも、穿刺前の準備が変わります。

皮膚の状態

穿刺部位の皮膚に発赤・腫れ・熱感・内出血・かさぶた・前回穿刺の痕がないかを確認します。皮膚トラブルがある場所は、痛みや穿刺困難につながることがあります。

血管だけでなく、皮膚の状態も穿刺部位選びの重要な情報です。

前回穿刺部位との関係

同じ場所ばかりに負担が集中していないかを見ることも大切です。

前回の穿刺痕が強く残っている部位や、負担がかかっている部位は避けた方がよいことがあります。

シャントは繰り返し使う血管なので、毎回どこに刺すかを意識して見ることが必要です。

腫脹や異常の有無

見た目で腫れがないか、左右差がないか、普段と違う印象がないかも確認します。

何か違和感がある場合は、安易にいつも通り刺すのではなく、一度立ち止まって考えることが大切です。

触診で確認するポイント

血管の走行

触ってみると、見た目よりも血管の走り方がよくわかることがあります。

どこまでまっすぐか、途中で曲がっていないか、どの方向に伸びているかを指で追って確認します。

見える情報より、触って得られる情報の方が大事なことも多いです。

血管の深さ

血管が浅いのか深いのかを触って確認します。

以前、刺入角度が浅すぎて血管に届かなかった経験があります。

深さのイメージが曖昧なまま刺すと、浅すぎて入らない・深すぎて貫く・逆血があっても安定しないといったことにつながりやすくなります。

触診で深さをある程度つかんでおくことが大切です。

血管の太さと張り

シャント血管がしっかり張っているか、柔らかいか、細いか、逃げやすいかといった感触も大切です。

血管の張りが弱いときや細いときは、いつもより穿刺しにくいことがあります。

こうした情報があるだけでも、今日は慎重にいくべきかどうかの判断がしやすくなります。

長期透析の患者さんでは、皮膚が肥厚・硬化していて、触ると血管のように感じられる部位があることもあります。

以前、そういった部位で迷ったことがありましたが、血管特有の弾力と皮膚の硬さの違いを触診で確認し、正しい血管を見分けて穿刺できた経験があります。

触診の感覚は積み重ねで少しずつわかってくる部分です。

スリルとシャント音の確認

シャントの状態確認として、スリルを触れることと、シャント音を聴くことも大切です。

スリルはシャント上に指を当てたときに感じる振動で、シャント音は聴診器を当てたときに聞こえる血流音です。

いつも通り触れるか・聴こえるか、弱くなっていないか、音の質が変わっていないかを確認します。

いつもと違う感じがあるなら、穿刺前に先輩や担当者へ相談した方がよい場面もあります。

新人が見落としやすいところ

見えている血管だけで判断してしまう

新人のうちは、どうしても目で見える血管に意識が向きやすいです。

ですが実際には、見た目と触った感触が一致しないこともあります。

見るだけでなく、必ず触ることが大切です。

深さのイメージが持てていない

走行は見ていても、深さまで意識できていないことがあります。

穿刺は平面ではなく立体で考える必要があるので、どのくらいの深さに血管があるのかを意識するだけでも変わります。

刺すことを急ぎすぎる

緊張すると、早く刺さなければという気持ちが強くなり、観察や触診が浅くなりやすいです。

私自身、「早く刺さなければ。」と焦ってしまい緊張で手が震えて血管をとらえられなかった経験があります。

また、本管だと思って穿刺した血管が実は枝だったこともありました。

焦るときほど、刺す前に一回しっかり確認することが大事です。

穿刺前に大切な考え方

シャント穿刺では、針を持つ前の時点でかなり勝負が決まっています。

どこを狙うか、どの方向に進むか、どのくらいの深さをイメージするか。

これが曖昧なまま刺すと、どうしても感覚頼みになりやすくなります。

逆に、観察と触診で血管の情報が取れていれば、穿刺はかなり落ち着いて行えます。

とりあえず刺すのではなく、血管を理解してから刺すことが大切です。

まとめ

シャント穿刺の前には、観察と触診で血管の状態を確認することが大切です。

確認したいポイントは、血管の走行・深さ・太さや張り・皮膚の状態・腫れや内出血の有無・スリルの状態・前回穿刺部位との関係などです。

新人のうちは刺す動作そのものに意識が向きやすいですが、実際には刺す前にどれだけ見て、触って、考えられるかがとても重要です。

シャント穿刺は、針を持つ前から始まっています。

まずは観察と触診を丁寧に行うことが、安全な穿刺への第一歩だと思います。

※本記事は一般的な内容をまとめたものであり、実際の対応は施設の方針や医師の指示に従ってください。

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